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野良連合のWokka選手が現役を引退
esportsプロチームの野良連合に所属しているWokka選手。
彼は野良連合のリーダー兼大エースとして、数多の大会で活躍した日本を誇るスーパープレイヤーである。
最近のSix Invitational 2019で、数多の強豪を破りベスト4に輝いたことは、日本e-sportsファンの記憶にも新しいことだろう。
Wokka選手自身も当大会で目覚ましい活躍をみせており、世界でも有数のプレイヤーであることを証明した。
Wokka選手は実力もさることながら、大胆不敵に万人の予想を超えるアグレッシブなプレイスタイルであり、プレイを見ていて本当に楽しませてくれる選手である。
そんなWokka選手が今回プロゲーマーという立場から引退し、配信者になることを表明した。
引退を決めた理由
引退の理由を纏めると、以下の3点である。
2.モチベーションの低下
3.将来への不安
プロゲーマーと聞いて、「好きなゲームを好きなだけプレイして尚且つお金も貰えるなんて、最高じゃないか」と思う人も多いだろう。
その意見はきっと間違いではない。もちろん、その一面も間違いなくあるだろう。
しかし、楽しいだけでない、むしろきついと感じる時間の方が多いのではないかとさえ思う。
1.厳しいスケジュールやチームの事情より、休みを得ることができない。
Wokka選手がこの動画でも語っていたが、休みは週に一度、睡眠時間は4時間~6時間
それ以外の時間のほとんどは、練習にあてるか、Youtube活動にあてるという厳しいスケジュールである。
さらに、これだけの時間をチームの練習時間にあてても、収入のほとんどはYoutubeからというのが現実だ。(Wokka選手はYoutubeからの収入が多かったため、
他メンバーに回してもらっていたという事情もあったらしい)
野良連合という、日本のesportsの世界で一歩も二歩もリードしているチームですら、こういう現状なのだ。
2.モチベーションの低下
この体調面やメンタル面でも相当な負担がかかるハードスケジュールをこなすには、モチベーションは不可欠である。
『絶対に日本プロシーンで優勝してやる』
『俺は世界で名を轟かせるスーパープレイヤーになるんだ』
……など、このような強い意志なしでは、プロゲーマーの厳しいスケジュールをこなすことはできないだろう。
まだ、何かを成し遂げる前であれば、モチベーションも保ちやすい。
しかし、Wokka選手は日本プロシーンでも何度も優勝し、世界でも大活躍を収めた。
その時、次に何をモチベーションにすればいいのか、それを見つけるのは難しいことなのかもしれない。
3.将来への不安
貴重な10代や20代をプロゲーマーとして過ごし、選手を引退した後、自分にはどんな道が残っているのか。
日本のようなプロゲーマーに対してまだまだ認知も少なければ、具体的なアフターライフの道も未開拓の環境で、将来に不安を感じるなという方が難しいだろう。
以上のような3点から、Wokka選手が現役を引退した。
今後Wokka選手は、配信者の道を進むことを決めたことに対し、もちろん残念に思う気持ちもあるが、仕方がないことなのかなと思った。
esports先進国である韓国の有名選手も同じ悩みを抱えていた
League of Legendsという最高峰のesportsタイトルにおいて長い期間絶対王者として君臨した『SKT Telecom T1』
その黄金世代を支えたBOTコンビで超有名な『Bang』選手と『Wolf』選手。
そんな彼らが、SKTから別チームに移籍することが決まった時のインタビュー動画である。
この動画は非常に面白い内容となっていて、日本語字幕も用意されているので是非全編見てみてほしい。
そんなBang選手とWolf選手へのインタビュー動画だが、特に9:49~からの内容が今回のWokka氏との悩みとも共通していて、プロゲーマーという職業の難しさを感じた。
17,18シーズンはSKTが世界大会で3連覇した翌シーズンであり、SKTの勢いが遂に失墜したシーズンだった。
何故、このシーズンをうまく過ごすことができなかったかについて主に以下の点が挙げられた。
・追われる側のプレッシャーを強く感じた。
・モチベーションを保つことが難しかった。
これはWokka選手との悩みと、共通項が多いように見える。同じスタープレイヤーならではの抱える問題だ。
このシーズン、Bnag選手は余りにナーバスになったことから「このまま生きていたら死んでしまう」と思ったほどだそうだ。
やはり、世界で競うためには全てを犠牲にするほどの練習や集中が必要であり、そのためには強いモチベーションが必須なのである。
しかし、一度自分の中の目標を達成すると、どうしても休養期間というものが欲しくなる。
だが、その休養期間をとると、今度はその時間強いモチベーションを持って練習してきた新たな勢力に席を奪われてしまう。
最初にプロゲーマーは「好きなゲームを好きなだけプレイして尚且つお金も貰えるなんて、最高じゃないか」と言ったが、私はこの環境に身を置くことは絶対にできないだろうと思った。
プロゲーマーの世界とは非常に厳しい世界なのである。
今後日本のesportsがこうなってほしいという願望
高いモチベーションをもって、世界を目指しそれを成し遂げたとしよう。
しかし、その頂きにたった後でさえ、将来へ不安を感じなくてはいけないような世界では少し寂しいなと思った。
日本のesportsシーンは年々拡大し、プロゲーマーの数も増えたが、自身がプロの間に将来に対して不安を感じないほどの収入や地位を得ている選手はまだまだ多くはないだろう。
もちろん、日本のプロゲーマー全員がそうなることは無理だとは思うが、Wokka選手のような超一流プレイヤーで、実績も残すような選手は、例えばプロ野球選手やプロサッカー選手のような夢のある立場になってほしいなと思う。
子供たちが、それを見て憧れるようなそんな職業に『プロゲーマー』が昇華していくことをただ望むばかりである。